スタイリストの「りさ」さんが、服を通じて社会のあり方を考えるシリーズの第3弾。
【 服の話を、社会の話に。】
Vol.3~ボディーポジティブ~
今回はプラスサイズモデルとして活躍する「おゆき」さんをゲストに迎えて、「ボディポジティブ」をテーマに、インスタライブで対談した内容をご紹介します!
「りさ」プロフィール @stylist_risa_1130/
TV雑誌のスタイリング歴17年|累計60,000コーデ│服をきっかけにした様々な情報を発信中
「おゆき」プロフィール @super_positive_oyuki
プラスサイズモデル/EC商品ビジュアル制作/ボイストレーナー/元Alinoma MD
「脂肪と希望で魅了する!」
3Lモデルおゆきさんの逆転人生
かつては「痩せる=正義」という価値観の中で葛藤してきたおゆきさんが、どのように自分の体を「長所」に変え、現在のポジティブなマインドを手に入れたのか。
そして、りささんが考える日本の社会に根付く痩せ信仰へのスタンスなど、1時間のインスタLIVEで語られた、笑いあり、気づきありの対談を凝縮してお届けします♪
まずは自己紹介からスタート!今日のファッションは?
おゆき:皆さん、こんばんは♪
『脂肪と希望で魅了する、3Lおゆきでーす!』 よろしくお願いします!
りさ:すごい、アイドルみたいな挨拶!実は私もさっき急遽考えたんです。
『理論と反骨でスタイリングする、りさでーす!』

おゆき:ポーズもセットで!イエーイ!今日はりささんもグリーンと紫のネイルを合わせていて、すごく素敵です。
りさ:おゆきさんの今日の服も、春らしくて可愛いですよね。ピンクのジャケットに大きなドットのワンピース!大きなドットで、ぽっちゃりさんならではのポップな魅力が出ていますね♪
おゆき:ありがとうございます!「そんなことないです〜」なんて絶対に言わないです。「ですよね〜!ありがとうございます!」って肯定しちゃう。
10歳で経験した「ハンバーグ事件」とダイエットの呪縛

おゆき:私は小さい頃からぽっちゃりでした。自分では気にしてなかったのですが、小学校に入ってからかわれることがあって、母は将来を心配していたようです。
りさ:ご本人よりも先に、周囲の大人が「痩せなければ」と意識し始めたのですね。
おゆき:そうなんです。10歳ごろにクラシックバレエを始めたのですが、バレエは「痩せていることが正義」という厳しい世界。母の勧めで「痩せる漢方」を飲んだりしました。
りさ:10歳という成長期に、ダイエットが始まったのですね。

おゆき:痩せないといい役がもらえないと先生にも言われて、痩せると周囲の目線の変化を感じました。男の子にもモテ始めたり。でも今思えば過酷でしたね。
おゆき:ある日の夕食でついに限界が来てしまったんです。本当はハンバーグを2つ食べたかったのに、母から「1つにしなさい」と言われて、私、我慢できずに激昂してしまって。
りさ:それが、噂の「ハンバーグ事件」ですね。
おゆき:(笑)あまりに私が取り乱すので、父が落ち着かせようと、近くの公園に連れ出してくれたんです。住宅街のど真ん中の公園で、「叫びたいならここで叫びなさい」と言われ、私は力の限り叫びました。
「ハンバーグが食べたい! なんでダメなのーー!!」って。
おゆき:バレエは好きだったのですが、結局「バレエも勉強も全部やめるから、その代わり私は食べます!」と宣言したんです。
りさ:その決断を聞いて、なんだかホッとしました。
音楽業界の「痩せ=スタートライン」という高い壁

りさ:18歳から音楽業界に進まれたとのことですが、そこでも体型に関する価値観のぶつかり合いがあったのでしょうか?
おゆき:私が専門学校に通っていた20年前は、まさにルッキズム全盛期。「ボディポジティブ」という言葉も全く聞かない時代でした。
りさ:当時は安室奈美恵さんや浜崎あゆみさんが大人気で、音楽業界も「痩せる=正義」の時代ですよね。
おゆき:そうなんです。「歌が上手い」だけではトップにはなれない。「痩せていること」が絶対条件のスタートラインでした。流行りのキャベツダイエットもやりましたね。

りさ:私の通っていた服飾の専門学校でも、モデル科の子たちは大変そうだった…。
おゆき:でも心のどこかで「みんなが痩せているなら、私一人くらい太っていた方が個性的でいいんじゃない?」という気持ちも芽生えてきました。
りさ:それは、素敵な感性!最近はNo No GirlsのHANAが一躍有名になって、体型に関わらず実力で勝負するアーティストが支持される時代。変化を感じます。当時は考えられなかったですが。
恋愛で解けた呪いと一点突破で切り開いたモデルへの道
りさ:小学生でもう食べるって決めて、専門学校ではやっぱり痩せた方がいい?と思った時もあって、そこからプラスサイズをお仕事にしていこうと思うようになった、転換期があったのですか?

おゆき:転換期というと、26歳の時の彼氏の言葉ですね。ぽっちゃり専門の方と初めてお付き合いをして、彼に「おゆきには、100kgを超える才能はないんだよ」って言われて。
りさ:それは衝撃的なおことば…!
おゆき:「あ、私ってこのままでも愛されるんだ。むしろ今の体型に需要があるんだ!」って気づかせてもらった。
そこから「痩せなきゃ」が真逆になって、こっちの世界で輝こうって思えたんです。
りさ:いい愛され体験になったんですね!そのマインドがあったからこそ、プラスサイズ専門モール「アリノマ」への道が開けたんですね。
おゆき:はい。アリノマはプラスサイズのブランドが集まったECサイトで、以前から知っていました。募集を見つけて「私の居場所はここだ!」って直感したんです。
「PCスキル必須」って書いてあったんですけど、私、全然できなくて(笑)。「私は3Lなので、3Lの人の気持ちが誰よりもわかります!」って一点突破で面接を通過しました。
モデルのお仕事も、社内で「3Lのおゆきがモデルやってみたら?」と言われたのがきっかけなんです。
りさ:着用モデルさんがそのサイズで素敵に着こなしていると、やっぱりいいなってなりそう!

おゆき:ご意見番として「プラスサイズの人はお尻を隠すチュニックばかりじゃなくて、インして着たいはず!」なんて、当事者の立場でガンガン意見を出していきました。
りさ:コンプレックスだったはずの「サイズ」が、今や最強の「武器」になっていますね。
おゆき:本当にそう思います! ちなみに今日は部屋がちょっと寒いですけど、私には「ミートテック」があるから大丈夫です!(笑)
▼おゆきさんがモデルのAlinomaサイト▼

痩せ信仰のルーツと「りさ流」ボディポジティブの新定義
1960年代にアメリカで誕生した「ボディーポジティブ」という概念。

近年は日本でも注目されるようになりましたが、スタイリストのお仕事の中でも、海外に比べるとまだまだ痩せ信仰を感じる機会がある現状。
りささんと一緒にその正体や今の私たちへの影響を考えていきます。
服選びで感じた、違って当たり前の海外と日本の同調文化。

りさ:おゆきさんは服選びはどうされていますか?
おゆき:結構悩みますね。サイズが入らないし、実店舗に試着できるものがないので。
私はおしゃれが好きだったので、早くからECサイトや海外で買っていました。最近だとSHEINとか。
りさ:海外に行った時の購入体験は、日本とは違っていませんでしたか?
おゆき:ハワイでプラスサイズ専門コーナーに行ったら、基準が全然違って。私には大きすぎるくらい。レギュラーサイズのLサイズが普通に買えたんです。

ビーチでも、おばあちゃんたちがハイレグの赤い水着を堂々と着ていたり、誰も人の目を気にしていない。「あ、全然恥ずかしくないんだ!」って概念が覆されました。
りさ:海外だと肌の色も人種もバラバラで当たり前だからこそ、「これくらいが普通」という基準がないんですよね。
逆に日本は同族民族で同調圧力が強い。かつては広告でも「太っているのは自己管理ができていないからだ」というようなキャッチコピーが流されていました。
「痩せなきゃ」と言われて育ったのも、その価値観の中にいたからなんですね。
おゆき:そういえば日本のドラマって、ぽっちゃりした人が出てくると、「面白い役」や「あねご役」といったのキャラクターに固定されがちですよね。
りさ:ビシッとスーツを着たプラスサイズの人が出てくるような海外ドラマの感覚が、日本にはまだ少ない。こういうイメージが、日本ではまだ十分に共有されていないんです。
日本独自の「シンデレラ体重」という罠
りさ:皆さんは「標準体重」のほかに、「美容体重」や「シンデレラ体重」という言葉を聞いたことはありますか?

りさ:ちょっとやってみてください。「シンデレラ体重」は、標準より約10kgも少ない数値なんです。医療関係者からすれば、これ、とんでもなく低い数字です。
おゆき:私から10kgならまだ分かりますけど、標準体重からマイナス10kg…!?
りさ:ええ。SNSでは「あと2kgでシンデレラ体重だから、食べるのを我慢して頑張る」といった投稿も見かけます。
日本ではなんと、小学校1年生の女子の3割、6年生になると半数が「痩せたい」と思っているという調査結果もあるんです。
特にアジア、中でも日本は摂食障害がもっとも多い国とも言われているんです。
おゆき:そういえば音楽業界で求められていたのはシンデレラ体重くらいだったかも。ダイエットと摂食障害は関係が深いと聞きます。
りさ:振り返ってみると、日本のママたちは、無意識に自分の子供に「痩せなきゃ」というメッセージを送ってしまっていないでしょうか?
おゆき:「そんなに食べたら太るよ」とか気軽な一言が、影響しているかも…!
「そのうち痩せるから大丈夫」と母にいわれたのも、今の自分をやんわり否定されている感じがしました。
あ、でも母の名誉のために言いますが、今はモデルのお仕事を見てくれて、「一番あなたがかわいいね!」と応援してくれています。
「他人の眼差し」と「自分の価値」を切り離す
りさ:どんな体型でも価値は同じで、自分の体を否定しなくていいというボディポジティブの概念。
「とはいえ、周りの目は変わらない。気にしなければいいのかな…」という疑問も湧いてきます。
それに対して私は、「ボディポジティブは他人の眼差しと、自分の価値を切り離す練習」だと考えています。

日本は特に「細い=自己管理できている」「小さい=かわいい」「華奢=女性らしい」というような、社会の都合で作られてきた基準があって、これからもそれは消えないでしょう。
それを前提に、だから気にしなければいいのではなく、
1 「気になるのは普通だ」ということ
2 「社会が長年作り込んできた価値で、私の問題じゃない」と思うこと
3 「これは社会の目線だな、ふうん」って一歩引いてみる
この3段階が、現実的なボディーポジティブへのマインド。心に残しておいてもらえると嬉しいです。
ボディーポジティブを「自分の体を好きになる運動」と定義するのではなく、定義自体は「体で序列を作る社会に私は加担しない」 というスタンスが大事じゃないかと思っています。
おゆき:社会の目線から一歩引いてみる、加担しないというスタンス。分かりやすいし、無理なくできそうです!
痩せたかったら痩せてもいいですし、健康的にね。太ってもいいですし、そのままでもいいですし、どんなときでも自分を好きでいれば、いいんじゃないかなと思います。
体型だけでは語れない、ありのままの魅力とは?
対談で明らかになったおゆきさんのポジティブマインドの秘訣。語られたエピソードの中から、具体的に参考になる考え方を、3つご紹介します。
「ありのまま」は「泥付きのジャガイモ」ではない
りさ:おゆきさんは、自分を肯定するマインドが素晴らしいと感じます。でも、ボディポジティブって単に「太っていていい、何もしなくていい」という開き直りと勘違いされることもありますよね。
おゆき:そうなんです!そこは私もすごく伝えたいところで。私が好きな美輪明宏さんの言葉に、「ありのままの自分を受け入れてほしいというのは、泥付きのジャガイモをお皿の上にポンと出すのと同じだ」というお話があるんです。

りさ:泥付きのジャガイモ…!すごくわかりやすい例えですね。
おゆき:人前に出すのであれば、洗って、皮を剥いて、ふかして…せめてそれくらいはしないと相手に失礼だし、自分も心地よくないと思うんです。そこにマヨネーズを添えたり、ちょっとお塩をかけたりして、自分を「整える」努力を忘れないことが大事なんじゃないかなって。
りさ:なるほど。ジャガイモ自体が大きくても小さくても、その価値は変わらないけれど、それをどう提供するかという「清潔感」や「人への配慮」はまた別の話だということですね。
おゆき:まさにそうです。ボディポジティブは「だらけていい」ということではなくて、ありのままの体型を愛しつつも、清潔感を大切にして、人を不快にさせないように自分を磨くこと。
だから私は、お肌のお手入れやメイク、自分に似合う服選びは全力で楽しんでいるんです(笑)。
「体型」よりも先に「人柄」が伝わる自分でいたい
りさ:視聴者の方からの「周りの目が気になる」という声に対して、おゆきさんはどう思われますか?
おゆき:私は「周りがそう見てくる」ということ自体、本当かな?と思います。自分がそう思い込むと周りもそうだと感じるバイアスもあるんじゃないかな。
りさ:それもあるかもしれませんね。
おゆき:本当は誰かの役に立っていたり、すごく明るかったり、個性的だったり。そういう「人としての魅力」が体型の話よりも先に出てくるようになれば、一番いいのかなと。「あの人、派手だけど面白いよね!」でもいいんです。
りさ:確かに、その人の役割や人柄が印象的であれば、体型はその人を形作る数ある要素の一つに過ぎなくなりますね。
おゆき:もし「太い・細い」しか印象に残っていないのだとしたら、それは自分のお仕事や子育て、社会的な役割など、他の部分を逆に伸ばしていくチャンスなんじゃないかなって。
りさ:ピンチをチャンスに変える、すごく前向きな捉え方ですね!
おゆき:「皆さんが痩せれば痩せるほど、私が目立ってラッキー!」くらいの気持ちです!
大丈夫、ぽっちゃりは「モテますよ!」
おゆき:皆さん「痩せたい」って思いがちですけど、実はぽっちゃりってめちゃくちゃモテるし、お得なんですよ(笑)。
りさ:お、ぜひ詳しく聞かせてください!
おゆき:まず、「見つけてもらいやすい」ということ。中肉中背よりも、3Lというだけでカテゴライズがはっきりします。
恋愛でも「ぽっちゃりした可愛い子いない?」っていうオーダーに即座にヒットできるんです。これって、出会いの機会が圧倒的に増えるっていうことなんですよ。
りさ:なるほど。それは関西弁好きな人に、私が「関西弁」で刺さるのと似ているかも。自分らしさを出すと、相性のいい相手と出会いやすくなるという戦略ですね。
おゆき:まさにそうです!「無個性」よりも、自分の特徴をどんどん売っていって、自分の人生を楽しみましょう!

編集後記
華やかなファッションでいつもみんなを元気にしてくれるおゆきさん。「痩せ=正義」という価値観の中から、現在のポジティブさにたどりついたルーツを再発見できた対談でした。これからも圧倒的なポジティブパワーを発揮して、日本を明るくしてくれることでしょう。
そして、社会や国際文化、さらに教育にまで切り込むりささんの深い考察は、成長期のお子さまや子育て中のママにとっても、価値観の見直しや固定観念に気づくヒントを与えてくれました。
お二人の活躍に、これからも目が離せません!
りささんの理論的で切れのいい関西弁
とおゆきさんのユーモア溢れる語り
を直接聞きたいかたへ
▼インスタライブ動画はこちらから▼
どんな体型であっても、それも含めてあなたの価値になります。そして、ありのままを愛することと、自分を磨くことは両立します。
自分自身が心地よくいられるために、オシャレも人生も全力で楽しんでいきましょう!
スタイリスト「りさ」さん活動紹介
川村梨沙

スタイリスト。SNSを通じて服の魅力と社会とのつながりを発信。
「服はオシャレだけではなく、衣食住の“衣”」という視点から、体型や価値観にとらわれないファッションのあり方を提案している。2026年からはInstagramで対談企画「服の話を社会の話に」を毎月開催し、服を入り口に社会や価値観について考える発信を続けている。
2026年3月、自身のブランド「SEN」をスタート予定。

Instagram:@stylist_risa_1130
▼おゆきがモデルのプラスサイズ通販サイト▼

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